漢方エキス剤のこと

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私が提案したい漢方エキス剤の運用方法

煎じ薬の処方・服用が現実的に難しい以上、漢方エキス剤をどれだけうまく運用し、個人の病態にあわせるかが現代の漢方処方に重要なスキルです。それには主に、合方、加法、一般漢方製剤を活用する、食事に注目するなどの方法がありますが、それぞれに注意点があります。
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漢方エキス剤と煎じ薬との違いと使い分け

煎じ薬と漢方エキス剤ではどちらが効くのかという質問をよくいただきます。個人個人にオーダーメイドで処方を組むことができるという点では煎じ薬の方が効き目があるといえますが、漢方エキス剤には漢方エキス剤の無視できないメリットがあります。
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漢方エキス剤メーカー間差異

同じ方剤でもメーカーによって内容が違うことが少なくありません。具体的な違いは、原料が違う、製法が違う、生薬配合量・生薬配合バランスが違う、剤型が違う(細粒・錠剤・カプセルなど)、単一生薬の散剤がある場合があるなどがあります。
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漢方エキス剤の生薬配合量はとても少ない

漢方エキス剤の生薬配合量は古典に記されている量より少なく、現代の中国と比較してもたったの1/3くらいです。その理由は、日中では水の硬度が違うこと(成分抽出量が変わる)、ほとんどの生薬は輸入に頼っており高価なものであったことが考えられます。
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漢方エキス剤の長所と短所

漢方エキス剤には、保険が使える、煎じる手間がなくなり、持ち運びができる、薬局の手間が減る、品質が安定するなどの長所があり、それが広く普及した大きな要因となりました。一方で患者さんの病態に合わせた加減ができない、種類が少ないなどの短所もあります。
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中国の漢方エキス剤事情

中国ではほとんど漢方エキス剤は普及していないようです。現代中国医学(中医学)は個人の病態に合わせて方剤を加減します。また後代、生薬の薬効によって1から方剤を組み立てるというやり方が主流になったこともあり、加減ができない漢方エキス剤はそぐわないのです。
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漢方エキス剤とは何か

煎じ薬は複数の生薬を煎じて作る薬ですが、この煎じ薬をエキス化し顆粒や錠剤、カプセルにしたものが漢方エキス剤です。1957年に初めて小太郎漢方製薬株会社から発売され、1967年以降保険収載が開始されてから、漢方エキス剤は急速に普及していきます。
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保険収載の漢方エキス剤はどの様に決まったのか?

保険収載されている漢方エキス剤は148種類です。中国2000年の誇る数多の方剤の中からどの様に選ばれたのかは不明です。エキス剤が保険収載された時代からも環境の変化、科学の進歩等があり、必要とされるエキス剤も変化してきていて、種類が少なすぎるのが現状です。
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はじめに

現在、漢方は内科専門医試験にも取り入れられ、医師の9割が何らかの形での漢方処方経験があると言われています。漢方エキス剤の開発と保険収載が大きな要因でしょう。そして現状、9割の医師が処方経験を持つ「漢方」は漢方エキス剤がその中心、ほとんど唯一のツールです。