横紋筋融解
科学で考える漢方診療
- 原因
- 熱中症(体温調節ができなくなり、深部体温が四十度を超えた時に筋肉の壊死、変性が起こる)
- 重度の低カリウム血症(筋肉に部分的な虚血を起こすことにより、四肢麻痺、横紋筋融解症を呈することが知られている)
- 低リン血症
- カテコラミン過剰
- 激しい運動 てんかん・痙攣発作、熱中症、菌虚血・壊死(動脈閉塞・深部静脈血栓症等)、代車性骨格筋疾患等に注意。特に強直性間代性痙攣発作は、数万単位にも及ぶ高C K血症をきたすこともある。
- 症状
- 筋繊維が障害されると形質膜が破綻し、細胞外よりカルシウムが流入する。過度のカルシウムの存在は局所的に筋繊維の過収縮を生じさせて、筋繊維自体を物理的に破綻させる現象。破綻した筋繊維は、全長ではなく局所的に壊死し、状況が良ければ部分的に再生する。ごく一部分の筋繊維壊死は、日常的にも生じている。
- 筋細胞内容ぶつであるミオグロビン、ヘムが大量に循環血漿中に流入することで、鉄イオンおよび活性酸素種(R O S)を過剰に産生させ、結果的に腎尿細管細胞壊死を引き起こす。
- 筋損傷部位における体液貯留などによる循環血漿量・血管内脱水。
- 筋から放出される大量のカリウムによる高カリウム血症。
- 筋から放出される大量のミオグロビンによる急性尿細管壊死。
- 筋細胞の障害によりミオグロビン放出、乳酸、尿酸湯の血中濃度上昇と筋組織への急速な水移行が起こり、ミオグロビン血症、乳酸アシドーシス、高尿酸血症と脱水が出現する。
- 酸性尿下ではミオグロビンは腎毒性を有するヘマチンとなり、尿細管障害を発症する。また筋崩壊により、尿素サイクルの異常をきたし、酸性が増加した尿酸が結晶化することによる尿細管閉塞も腎障害を助長する。
- ミオグロビンによる腎の血管収縮作用も推測される。この血流低下は腎内プロスタグランジンの産生低下、バソプレシンの過剰分泌などの関与も加わり、腎虚血を引き起こす。
- 細胞外液の菌細胞内への急速移動に伴う脱水。最大で1肢あたり10Lの水が蓄積しうる。
- 活性酸素種(R O S)発生に伴うミトコンドリア機能異常と乳酸アシドーシスの併存。
- 炎症性因子と横紋筋融解の細胞レベルでの関係は、炎症性サイトカイン産生等との関連性が考えられるが、むしろ二次的でごく一過性な要因というのが常識的である。
- 横紋筋融解ではD I Cも起こる。
- 治療
- 一般的には重篤な熱傷患者と同程度の水分量を必要とし、脱水に対し生理的食塩水の投与を行い、循環動態の安定化を図る。
- その他
- 腎障害がない場合は輸液によって水分量を保ちながら腎臓の保護を図る→ミオグロビンによる二次障害を予防 AKI発症予防が重要 全AKIの7〜10%が横紋筋融解症による。
- 尿のアルカリ化―ミオグロビン沈澱は酸性環境で促進される。
- ミオグロビンの血中半減期は1〜3時間 菌障害から8〜12時間で血中濃度はピークとなり、24時間以内に血中から消失(血中濃度自体は横紋金融界の診断にもAKIの発症予測にも有用ではない 尿中ミオグロビンも同様)→肝でビリルビンに代謝。
- 高血清N a値と高C K血症は、通常高N a血症時に出現。