トリテルペン
科学で考える漢方診療
- トリテルペンとは
- ファルネシル2リン酸(FPP)の2量化で生成するスクワレンを共通の前駆体として生合成されるC30の化合物群。
- 炭素骨格のバリエーションだけで200種類以上ものトリテルペンが存在することが知られている。
- 一般に疎水性。
- 生合成過程で転位、酸化、脱離などの反応が起こった結果、炭素数が少なくなったステロイドホルモン、ビタミンDなどもトリテルペン由来である。
- 微生物、植物、動物に普遍的に見出され、細胞膜の重要な構成成分の1つであり、生物の生理機能を調節するステロイド化合物の前駆体などが含まれる。
- トリテルペンおよびトリテルペンサポニンは、生薬・薬用植物の薬効成分として重要なものが多い。
- 環状トリテルペンは通常、スクワレンが酸化された2、3―オキシドスクワレンを中間体とし、これが環化を触媒する酵素により折り畳まれるように閉環されて生成される。この時2、3―オキシドスクワレンがトルコンフォメーションや、閉環の際に伴うメチル基やヒドリドの転位などにより、環状トリテルペンの骨格は多様なものになる。
- スクアレンーサメの肝油 オリーブ油
- 植物における「三大機能性トリテルペン」と呼ばれるベツリン酸、オレアノール酸(青紫蘇)、ウルソール酸→環の構造が一部異なる構造異性体。
- 全ての生物は、ステロイドを生産し、多様な化合物に変換して活用している
- トリテルペンの種類
- 1 ダンマラン型トリテルペンーβアミリンアレアノール散〜遊離体またはサポニンなどとして、天然に広く存在する
ギンセノシド類 ジジフスサポニン類〜大棗 酸棗仁
- 2 ルパン型トリテルペンー
- 3 オレアナン型トリテルペンーグリチルリチン散
ソヤサポニン類 ポリガラシン類〜桔梗 柴胡サポニン類―酸加水分解を行う際に、エポキシド環が存在すると容易に開環異性化が起こる チクセツニンジンサポニン類 セネギン類〜セネガ オンジサポニン アケポシド類〜木通 ギムネマ酸類〜ギムネマ 甘味抑制作用
- 4 ウルサン型トリテルペンーα―アミリンウルソール酸〜遊離体またはサポニンなどとして、天然に広く存在する
- 5 ラノスタン型トリテルペンーラノステロール〜ラノリン 羊の毛 コレステロールの前駆体
エブリコ酸〜茯苓 ホロトキシン類〜海鼠 抗真菌物質(水虫)
- 6 プロトスタン型トリテルペンーアリソール類〜沢瀉
- 7 シクロアルタン型トリテルペンーγ―オリザノール〜米糠
アストラガロシド類〜黄耆 シミゲノール、シミシフゴシド〜升麻
- 8 ククルビタン型トリテルペンーククルビタシン類〜ウリ科植物に特徴的に見られる苦味成分
モモルジシン類〜ゴーヤ モグロシド類〜ラカンカの甘味物質
- 9 変形トリテルペン〜ニガキ科、ミカン科
―リモノイドーリモニン〜苦味成分 昆虫摂食阻害作用 橙皮 代々の成熟した果皮にも含まれる 果実の成熟化につれて配糖化を受けて苦味が消失 オウバクノン カシノイド