傷寒論 辨太陽病脉證并治中第6-98条

原文

得病六七日 脉遲浮弱 惡風寒 手足温 
醫二三下之 不能食 而脇下滿痛 面目及身黄 頸項強 小便難者 與柴胡湯 
後必下重 本渇飮水而嘔者 柴胡湯不中與也 食穀者噦

病を得て六七日。脉は遲にして浮弱。風寒を悪み、手足は温かし。
醫が二三たびこれを下し、食する能わず。而つ脇の下滿ちて痛み、面目及び身が黄ばみ、頸項強り、小便難き者は柴胡湯を輿う。
後に必ず下重し、本と渇して水を飲んで嘔く者は柴胡湯を與うるに中らざる也。穀を食する者は噦す。

小柴胡湯方

エキス剤有

小柴胡湯

  • 小柴胡湯掲載条文傷寒論37条96条97条98条99条100条101条103条104条144条(金匱要略22-1条条と同文)・148条149条229条230条231条266条379条394条、金匱要略15-21条17-15条(傷寒論379条と同文)・21-2条21-12条22-1条(傷寒論144条と同文)
  • 傷寒論96条・97条・99条・100条・229条・230条・231条・266条・379条:黄芩3両、人参3両、甘草3両(炙る)、生姜3両(切る)、大棗12枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 傷寒論144条・148条:黄芩3両、人参3両、甘草3両、生姜3両、大棗12枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 傷寒論394条:黄芩2両、人参2両、甘草2両(炙る)、生姜2両、大棗10枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 金匱要略:黄芩3両、人参3両、甘草3両、生姜3両、大棗12枚、半夏半升

条文解説条文を細かく解釈してみよう

得病六七日

脉遲浮弱 惡風寒 手足温末梢血管拡張。ウォームショックだろうか。

醫二三下之 不能食瀉下によりアシドーシス(→高K)があるかもしれない。

而脇下滿痛リンパ節腫大+肝脾腫。

面目及身黄黄疸が見られる。

頸項強 小便難者髄膜炎による神経障害。

與柴胡湯「与えてみる」であり、確信はない。

後必下重 本渇飮水而嘔者 柴胡湯不中與也 食穀者噦下痢(渋り腹)で脱水、電解質異常、消化機能低下のものは柴胡剤ではない。噦するのは肝障害でもイレウスでもあり得る。

考察この条文はどのような症状を指しているのだろうか?

肝炎か副腎不全あたりかと疑っている

  • 髄膜炎、リンパ節炎、末梢血管拡張から肝炎か副腎不全あたりかと疑っている。
  • 肝炎の場合、ウィルス性肝炎では髄膜炎を起こさない。播種性や細菌性だろう。
  • 柴胡湯を小柴胡湯とするか柴胡剤とするか。

中国伝統医学ではこう考えた
日本漢方ではこう考えた