- 麻子仁丸掲載条文傷寒論247条、金匱要略11-15条(傷寒論247条と同文)
- 傷寒論:枳実0.5斤(炙る)、大黄(皮を除く)、厚朴(炙って皮を除く)、杏仁(皮尖を除き熬って別に脂を作る)
- 金匱要略:枳実1斤、大黄、厚朴、杏仁、全生薬を粉末にする
生薬解説各生薬は何をしているのか
芍薬【中品】タンニン酸(加水分解型タンニン/ガロタンニン)、ペオニフロリン、ペオノール →芍薬
枳実【中品】消化管内の殺菌・制菌、アシドーシス改善、胃酸中和など →枳実
大黄【下品】アントラキノン誘導体作用、タンニン作用。 →大黄
麻子仁【上品】 →麻子仁
杏仁【中品】去皮尖する場合、ギ酸による抗菌、尿素(肝障害がある場合は使用不可) →杏仁 去皮尖しない場合(金匱要略)は【中品】表面に傷をつけない(去皮尖しない、砕かない)杏仁は、アミグダリンが加熱と胃酸でサリチル酸に代謝されるため、アルカローシス改善に働く。
厚朴【中品】平滑筋弛緩作用。皮にはタンニンが含まれる。 →厚朴
- 丸剤。杏仁は去尖しても煎じない。
- 杏仁を炒っている→エムルシン失活→アミグダリンのまま→腸内細菌によりベンズアルデヒドとシアンに→シアンが腸内の水で蟻酸とアンモニア(腸内pHが下がるとアンモニアは吸収されにくい)に
- 麻子仁(上品)は七味唐辛子にも配合されている。脂(カンナビジオール=つまり大麻)に薬効がある→これが欲しくて丸剤にしている。
掲載条文
- 宋版傷寒論247条
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趺陽脉浮而濇 浮則胃氣強 濇則小便數 浮滿相搏 大便則鞕 其脾爲約 麻子仁丸主之 方三十一
趺陽の脉浮にして濇。浮なれば則ち胃氣強し。濇なれば則ち小便數。浮滿相搏てば大便は則ち鞕し。其の脾は約と為す。麻子仁丸これを主る。(方三十一)
麻子仁丸方
麻子仁二升 芍藥半斤 枳實半斤 炙 大黄一斤 去皮 厚朴一尺 炙 去皮 杏仁一升 去皮尖 熬 別作脂
右六味 蜜和丸如梧桐子大 飮服十丸 日三服 漸加 以知爲度 - 金匱要略11-15条
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趺陽脉浮而濇 浮則胃氣強 濇則小便數 浮濇相搏 大便則堅 其脾爲約 麻子仁丸主之
趺陽脉浮にして濇。浮なれば則ち胃氣強し、濇なれば則ち小便數。浮濇相搏てば大便則ち堅し。其の脾約と為す。麻子仁丸これを主る。
麻子仁丸方
麻子仁二升 芍藥半斤 枳實一斤 大黄一斤 厚朴一尺 杏仁一升
右六味 末之 煉蜜和丸梧子大 飮服十丸 日三 以知爲度
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用途麻子仁丸はどのような時に使用されるのか?
中医学では
日本漢方では
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- ???
漢方エキス剤複数社から販売されている場合は、使い分けることが可能です
ツムラ
TJ-126(顆粒)
コタロー
N126(細粒)
具体的な使い分け方については別頁で解説します。