痓とは現代的に考えると、痓とは何なのか?
痙攣
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痓を含む条文古典に散見する痓
- 宋版傷寒論4-1条
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傷寒所致太陽病 痓濕暍 此三種 宜應別論 以爲與傷寒相似 故此見之
傷寒が致す所の太陽病と、痓濕暍の此の三種とは、宜しく應に別に論ずべし。傷寒と相い似たりと爲すを以ての故に此に之を見す。
- 宋版傷寒論4-2条
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太陽病 發熱無汗 反惡寒者 名曰剛痓
太陽が病み、發熱し汗なく、反って惡寒する者は名づけて剛痓と曰う。
- 宋版傷寒論4-3条
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太陽病 發熱汗出 而不惡寒 名曰柔痓
太陽が病み、發熱し汗出で、而も惡寒せざるは名づけて柔痓と曰う。
- 宋版傷寒論4-4条
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太陽病 發熱脉沈而細者 名曰痓
太陽が病み、發熱し、脉沈にして細の者は名づけて痓と曰う。
- 宋版傷寒論4-5条
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太陽病 發汗太多 因致痓
太陽が病み、發汗すること太だ多ければ、因って痓を致す。
- 宋版傷寒論4-6条
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病身熱足寒 頸項強急 惡寒 時頭熱面赤 目脉赤 獨頭面搖 卒口噤 背反張者 痓病也
病んで身熱し、足寒え、頸項強り急れ、惡寒し、時に頭熱し、面赤く、目の脉が赤く、獨り頭面が搖ぎ、卒に口を噤み、背の反張する者は痓病なり。
- 宋版傷寒論85条
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瘡家 雖身疼痛 不可發汗 汗出則痓
瘡家。身疼痛すと雖も汗を發す可からず。汗出づれば則ち痓す。
- 宋版傷寒論131条
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病發於陽 而反下之 熱入因作結胸 病發於陰 而反下之 因作痞也 所以成結胸者 以下之太早故也 結胸者 項亦強 如柔痓状 下之則和 宜大陷胸丸 方一
病、陽に發す。而るに反ってこれを下し、熱入り因って結胸を作す。病、陰に發す。而るに反ってこれを下し、因って痞を作す也。結胸を成す所以の者は、これを下すこと太だ早きを以っての故也。結胸の者は、項も亦た強り、柔痓の状の如し。これを下せば則ち和す。大陷胸丸に宜し。(方一)
大陷胸丸方
大黄半斤 葶藶子半升 熬 芒消半升 杏仁半升 去皮尖 熬黒
右四味 擣篩二味 内杏仁芒消 合研如脂 和散 取如彈丸一枚 別擣甘遂末一錢匕 白蜜二合 水二升 煮取一升 温頓服之
一宿乃下 如不下更服 取下爲效 禁如藥法 - 金匱要略1-3条
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問曰 病人有氣色見於面部 願聞其説 師曰 鼻頭色青 腹中痛 苦冷者死 鼻頭色微黒者 有水氣
色黄者 胸上有寒 色白者 亡血也 設微赤非時者死 其目正圓者痓 不治 又色青爲痛 色黒爲勞 色赤爲風 色黄者便難 色鮮明者有留飮問うて曰く、病人に氣色の面部に見るものあり。願わくは其の説を聞かん。師曰く、鼻の頭の色青きは腹中痛む。冷に苦しむ者は死す。鼻の頭の色微かに黒き者は水氣有り。色黄の者は胸の上に寒有り。色の白き者は亡血なり。設し微赤にして時に非ざる者は死す。其の目の正圓の者は痓なり。不治。又、色の青きは痛みと為す。色の黒きは勞と為す。色赤きは風と為す。色の黄の者は便難し。色の鮮明なる者は留飮有り。
- 金匱要略2-1条
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太陽病 發熱無汗 反惡寒者 名曰剛痓
太陽病。發熱、無汗。反って惡寒する者、名づけて剛痓と曰う。
- 金匱要略2-2条
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太陽病 發熱汗出 而不惡寒 名曰柔痓
太陽病。發熱し、汗出でて、而も惡寒せざるは、名づけて柔痓と曰う。
- 金匱要略2-3条
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太陽病 發熱 脉沈而細者 名曰痓 爲難治
太陽病。發熱し、脉沈にして細の者、名づけて痓と曰う。難治と為す。
- 金匱要略2-4条
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太陽病 發汗太多 因致痓
太陽病。汗を発すること太だ多ければ、因って痓を致す。
- 金匱要略2-5条
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夫風病下之則痓 復發汗必拘急
夫れ風の病は之を下せば則ち痓す。復た發汗すれば必ず拘急す。
- 金匱要略2-6条
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瘡家雖身疼痛 不可發汗 汗出則痓
瘡家、身疼痛すと雖も發汗する可からず。汗を発すれば則ち痓す。
- 金匱要略2-7条
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病者 身熱足寒 頸項強急 惡寒 時頭熱 面赤目赤 獨頭動搖 卒口噤 背反張者 痓病也 若發其汗者 寒濕相得 其表益虚 即惡寒甚 發其汗已 其脉如蛇
病者、身熱し、足寒え、頸項強ばり急れ、惡寒し、時に頭熱し、面赤く目赤く、獨り頭動搖す。卒に口を噤み、背の反張する者、痓病也。若し其の汗を発する者、寒濕相得て其の表益益虚し、即ち惡寒甚だし。其の汗発し已って其の脉は蛇の如し。
- 金匱要略2-8条
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暴腹脹大者 爲欲解 脉如故 反伏弦者痓
暴かに腹脹り大なる者、解せんと欲すと為す。脉は故の如し。反って伏弦の者は痓す。
- 金匱要略2-9条
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夫痓脉 按之緊 如弦直上下行
夫れ痓の脉、之を按ずれば緊なり。弦の如く直に上下に行く。
- 金匱要略2-10条
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痓病 有灸瘡難治
痓病、灸瘡有るは治し難し。
- 金匱要略2-11条
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脉經云 痓家其脉伏堅 直上下
脉經に云う、痓家、其脉伏堅にして直に上下す。
- 金匱要略2-12条
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太陽病 其證備 身體強几几然 脉反沈遲 此爲痓 括蔞桂枝湯主之
太陽病。其の證備わり、身體強る几几然たり。脉は反って沈遲。此を痓と為す。括蔞桂枝湯これを主る。
括蔞桂枝湯方
括蔞根二兩 桂枝三兩 芍藥三兩 甘草二兩 生薑三兩 大棗十二枚
右六味 以水九升 煮取三升 分温三服 取微汗 汗不出 食頃啜熱粥發之 - 金匱要略2-13条
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太陽病 無汗而小便反少 氣上衝胸 口噤不得語 欲作剛痓 葛根湯主之
太陽病。無汗くして小便反って少なし。氣上って胸を衝き、口噤んで語るを得ず、剛痓を作さんと欲す。葛根湯これを主る。
葛根湯方
葛根四兩 麻黄三兩 去節 桂枝二兩 去皮 芍藥二兩 甘草二兩 炙 生薑三兩 大棗十二枚
右七味 寐咀 以水一斗 先煮麻黄葛根 減二升 去沫 内諸藥 煮取三升 去滓 温服一升 覆取微似汗 不須啜粥 餘如桂枝湯法 將息及禁忌 - 金匱要略2-14条
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痓爲病 胸滿口噤 臥不着席 脚攣急 必齘齒 可與大承氣湯
痓の病為る、胸滿し、口噤し、臥して席に着かず、脚攣急し、必ず齘齒す。大承氣湯を與う可し。
大承氣湯方
大黄四兩 酒洗 厚朴半斤 炙 去皮 枳實五枚 炙 芒消三合
右四味 以水一斗 先煮二物 取五升 去滓 内大黄 煮取二升 去滓 内芒消 更上火 微一二沸 分温再服 得下止服 - 金匱要略21-1条
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問曰 新産婦人有三病 一者病痓 二者病鬱冒 三者大便難 何謂也
師曰 新産血虚 多汗出 喜中風 故令病痓
亡血復汗 寒多 故令鬱冒 亡津液胃燥 故大便難問うて曰く、新産の婦人に三病有り。一つは痓を病む。二つは鬱冒を病む。三つは大便難し、と。何の謂ぞや。
師曰く、新産は血虚す。汗多く出で喜風に中る。故に痓を病ましむ。
血を亡い、復汗して寒ること多し。故に鬱冒せしむ。亡津液を亡い胃燥く。故に大便難し。