結胸

結胸とは現代的に考えると、結胸とは何なのか?

胸部に問題があるもの(→消化管に問題が出る)

  • 麻痺性イレウス、腸閉塞。食道・胃静脈瘤も含まれるかもしれない。
  • 結胸の原因:カンジダ症など。

結胸を含む条文古典に散見する結胸

宋版傷寒論124条

太陽病六七日表證仍在 脉微而沈 反不結胸 其人發狂者 以熱在下焦 少腹當鞕滿 小便自利者 下血乃愈 所以然者 以太陽隨經 瘀熱在裏故也 抵當湯主之 方六十四

太陽病、六七日。表證仍在り。脉は微にして沈。反って結胸せず、其の人狂を発する者は、熱が下焦に在るを以ってなり。少腹當に鞕滿すべし。小便利するものは、血が下がれば乃ち愈ゆ。然る所以の者は、太陽の經に髄い、瘀熱裏に在るを以っての故也。抵當湯これを主る。(方六十四)

抵當湯方
水蛭熬 蝱蟲各三十箇 去翅足 熬 桃仁二十箇 去皮尖 大黄三兩 酒洗
右四味 以水五升 煮取三升 去滓 温服一升 不下更服

宋版傷寒論128条
問曰 病有結胸 有藏結 其状何如
荅曰 按之痛 寸脉浮 關脉沈 名曰結胸

問うて曰く、病に結胸有り。藏結有り。其の状は何如。
荅えて曰く、これを按ずれば痛む。寸脉浮。關脉沈。名づけて結胸と曰う也。

宋版傷寒論129条

何謂藏結
荅曰 如結胸状 飮食如故 時時下利 寸脉浮 關脉小細沈緊 名曰藏結 舌上白胎滑者 難治

何をか藏結と謂う。
荅えて曰く、結胸の状の如く、飮食は故の如し。時時下利す。寸脉浮。關脉小細沈緊。名づけて藏結と曰う。舌上の白胎、滑らかなる者、難治なり。

宋版傷寒論131条

病發於陽 而反下之 熱入因作結胸 病發於陰 而反下之 因作痞也 所以成結胸者 以下之太早故也 結胸者 項亦強 如柔痓状 下之則和 宜大陷胸丸 方一

病、陽に發す。而るに反ってこれを下し、熱入り因って結胸を作す。病、陰に發す。而るに反ってこれを下し、因って痞を作す也。結胸を成す所以の者は、これを下すこと太だ早きを以っての故也。結胸の者は、項も亦た強り、柔痓の状の如し。これを下せば則ち和す。大陷胸丸に宜し。(方一)

大陷胸丸方
大黄半斤 葶藶子半升 熬 芒消半升 杏仁半升 去皮尖 熬黒
右四味 擣篩二味 内杏仁芒消 合研如脂 和散 取如彈丸一枚 別擣甘遂末一錢匕 白蜜二合 水二升 煮取一升 温頓服之 一宿乃下 如不下更服 取下爲效 禁如藥法

宋版傷寒論132条

結胸證 其脉浮大者 不可下 下之則死

結胸の證にして、其の脉浮大の者、下す可からず。これを下せば則ち死す。

宋版傷寒論133条

結胸證悉具 煩躁者亦死

結胸の證、悉く具わり、煩躁する者も亦た死す。

宋版傷寒論134条

太陽病 脉浮而動數 浮則爲風 數則爲熱 動則爲痛 數則爲虚 頭痛發熱 微盗汗出 而反惡寒者 表未解也
醫反下之 動數變遲 膈内拒痛 胃中空虚 客氣動膈 短氣躁煩 心中懊憹 陽氣内陷 心下因鞕 則爲結胸 大陷胸湯主之
若不結胸 但頭汗出 餘處無汗 劑頸而還 小便不利 身必發黄 大陷胸湯 方二

太陽病。脉浮にして動數。浮は則ち風と為す、數は則ち熱と為す。動は則ち痛と為す、數は則ち虚と為す。頭痛。發熱。微かに盗汗出づ。而るに反って惡寒する者は、未だ表が解せざる也。
醫、反ってこれを下せば、動數は遅變る。膈内拒痛し、胃中空虚。客氣膈を動かし、短氣し、躁煩し、心中懊憹す。陽氣内陷し、心下因って鞕し、則ち結胸と為る。大陷胸湯これを主る。
若し結胸せず、但だ頭にのみ汗が出て、餘處に汗無く、頸を劑りて還り、小便利せざる時は、身に必ず發黄す。大陷胸湯。(方二)

大陷胸湯方
大黄六兩 去皮 芒消一升 甘遂一錢匕
右三味 以水六升 先煮大黄取二升 去滓 内芒消 煮一兩沸 内甘遂末 温服一升 得快利止後服

宋版傷寒論135条
康治版傷寒論32条

傷寒六七日 結胸熱實 脉沈而緊 心下痛 按之石鞕者 大陷胸湯主之 三 用前第二方

傷寒、六七日。結胸し熱實す。脉は沈にして緊。心下痛み、これを按ずるに石のごとく鞕き者、大陷胸湯これを主る。(三 前の第二方を用いる)

宋版傷寒論136条

傷寒十餘日 熱結在裏 復往來寒熱者 與大柴胡湯 但結胸無大熱者 此爲水結在胸脇也 但頭微汗出者 大陷胸湯主之 四 用前第二方

傷寒、十餘日。熱結んで裏に在り。復た往來寒熱する者は大柴胡湯を與う。但だ結胸するのみにて大熱無き者は、此れ水が結んで在胸脇に有りと為す也。但だ頭にのみ微かに汗の出る者は、大陷胸湯これを主る。(四 前の第二方を用いる)

大柴胡湯方
柴胡半斤 枳實四枚 炙 生薑五兩 切 黄芩三兩 芍藥三兩 半夏半升 洗 大棗十二枚 擘
右七味 以水一斗二升 煮取六升 去滓再煎 温服一升 日三服 一方加大黄二兩 若不加 恐不名大柴胡湯

宋版傷寒論138条

結胸病 正在心下 按之則痛 脉浮滑者 小陷胸湯主之 方六

小結胸の病は正に心下に在り、これを按ずれば則ち痛む。脉の浮滑の者は小陷胸湯これを主る。(方六)

小陷胸湯方
黄連一兩 半夏半升 洗 栝樓實大者一枚
右三味 以水六升 先煮栝樓 取三升 去滓 内諸藥 煮取二升 去滓 分温三服

宋版傷寒論139条

太陽病 二三日 不能臥 但欲起 心下必結 脉微弱者 此本有寒分也 反下之 若利止 必作結胸 未止者 四日復下之 此作協熱利也

太陽病、二三日。臥する能わず。但だ起きんと欲するものは、心下必ず結す。脉微弱の者は、此れ本もと寒分有る也。反ってこれを下して若し利止めば、必す結胸を作す。未だ止まざる者、四日して復たこれを下せば此れ協熱利を作す也。

宋版傷寒論140条

太陽病 下之其脉促 不結胸者 此爲欲解也 脉浮者 必結胸 脉緊者 必咽痛 脉弦者 必兩脇拘急 脉細數者 頭痛未止 脉沈緊者 必欲嘔 脉沈滑者 協熱利 脉浮滑者 必下血

太陽病。これを下し、其の脉が促にして結胸せざる者は、此れ解せんと欲すと為す也。脉浮の者は必ず結胸す。脉緊の者は必ず咽痛む。脉弦の者は必ず兩脇拘急す。脉細數の者は頭痛未だ止まず。脉沈緊の者は必ず嘔せんと欲す。脉沈滑の者は協熱利す。脉浮滑の者は必ず下血す。

宋版傷寒論141条

病在陽 應以汗解之 反以冷水潠之 若灌之 其熱被劫不得去 彌更益煩 肉上粟起 意欲飮水 反不渇者 服文蛤散 若不差者 與五苓散 寒實結胸 無熱證者 與三物小陷胸湯 白散亦可服 七 一云與三物小白散

病が陽に在るときは應に汗を以ってこれを解すべし。反って冷水を以ってこれに潠き、若しくはこれに灌げば、其の熱は劫やかされて、去ることを得ず。彌よ更に益益煩す。肉の上に粟の如きもの起る。意水を飲まんと欲するも、反って渇せざる者は文蛤散を服す。若し差得ざる者は五苓散を與う。寒實結胸にて、熱證無き者は、三物小陷胸湯を與う。白散も亦た服す可し。(七 一に云う、三物小白散を與う)

文蛤散方
文蛤五兩
右一味爲散 以沸湯和一方寸匕服 湯用五合

五苓散方
猪苓十八銖 去黒皮 白朮十八銖 澤瀉一兩六銖 茯苓十八銖 桂枝半兩 去皮
右五味爲散 更於臼中杵之 白飮和方寸匕服之 日三服 多飮煖水汗出愈

白散方
桔梗三分 巴豆一分 去皮心 熬黒 研如脂 貝母三分
右三味爲散 内巴豆 更於臼中杵之 以白飮和服 強人半錢匕 羸者減之 病在膈上必吐 在膈下必利 不利進熱粥一杯 利過不止 進冷粥一杯 身熱皮粟不解 欲引衣自覆 若以水潠之洗之 益令熱劫不得出 當汗而不汗則煩 假令汗出已 腹中痛 與芍藥三兩如上法

宋版傷寒論142条

太陽與少陽併病 頭項強痛 或眩冒 時如結胸 心下痞鞕者 當刺大椎第一間 肺兪肝兪 愼不可發汗 發汗則讝語脉弦 五日讝語不止 當刺期門 八

太陽と少陽の併病。頭項強ばり痛み、或は眩冒し、時には結胸の如く、心下痞鞕する者は、當に大椎第一の間、肺愈、肝兪を刺すべし。愼んで汗を発す可らず。汗を発すれば則ち讝語す。脉弦にして、五日讝語止まざれば當に期門を刺すべし。(八)

宋版傷寒論143条

婦人中風 發熱惡寒 經水適來 得之七八日 熱除而脉遲身涼 胸脇下滿 如結胸状 讝語者 此爲熱入血室也 當刺期門 隨其實而取之 九

婦人中風。發熱。惡寒。經水適ま來る。これを得て七八日。熱除かれて脉遲。身涼ゆ。胸脇下滿ちて結胸の状の如し。讝語する者、此れ熱血室に入ると為す也。當に期門を刺すべし。其の實に隨ってこれを取る。(九)

宋版傷寒論149条
康治版傷寒論35条

傷寒五六日 嘔而發熱者 柴胡湯證具 而以他藥下之 柴胡證仍在者 復與柴胡湯 此雖已下之 不爲逆 必蒸蒸而振 却發熱汗出而解 若心下滿而鞕痛者 此爲結胸也 大陷胸湯主之 但滿而不痛者 此爲痞 柴胡不中與之 宜半夏瀉心湯 方十五

傷寒、五六日。嘔して發熱する者は柴胡湯の證具わる。而るに他藥を以ってこれを下し、柴胡の證仍在る者は復た柴胡湯を輿う。此れ已にこれを下すと雖も逆と為さず。必ず蒸蒸として振い、却って發熱し、汗出でて解す。若し心下滿ちて鞕く痛む者は此れ結胸と為す。大陷胸湯これを主る。但だ滿ちるも痛まざる者は此れを痞と為す。柴胡はこれを与えるに中らず。半夏瀉心湯に宜し。(方十五)

半夏瀉心湯方
半夏半升 洗 黄芩 乾薑 人參 甘草炙 各三兩 黄連一兩 大棗十二枚 擘
右七味 以水一斗 煮取六升 去滓 再煎取三升 温服一升 日三服 須大陷胸湯者 方用前第二法

宋版傷寒論150条

太陽少陽併病 而反下之 成結胸 心下鞕 下利不止 水漿不下 其人心煩

太陽と少陽の併病。而るに反ってこれを下し、結胸を為す。心下鞕く、下利止まず、水漿下らず、其の人心煩す。

宋版傷寒論228条

陽明病 下之 其外有熱 手足温 不結胸 心中懊憹 飢不能食 但頭汗出者 梔子敱湯主之 十五

陽明病。これを下し、其の外に熱有り。手足温か、結胸せず、心中懊憹し、飢えて食する能わず。但だ頭汗出づる者、梔子敱湯これを主る。(十五)

宋版傷寒論340条

病者手足厥冷 言我不結胸 小腹滿 按之痛者 此冷結在膀胱關元也

病者、手足厥冷す。我は結胸せずと言う。小腹滿ち、これを按じて痛む者は、此れ冷結が膀胱關元に有る也。

宋版傷寒論347条

傷寒五六日 不結胸腹濡 脉虚復厥者 不可下 此亡血 下之死

傷寒、五六日。結胸せず、腹濡か。脉は虚。復た厥する者下す可からず。此れ亡血なり。これを下せば死す。

金匱要略22-3条

婦人中風 發熱惡寒 經水適來 得七八日 熱除脉遲 身涼和 胸脇滿 如結胸状 讝語者 此爲熱入血室也 當刺期門 隨其實而取之