傷寒論 辨太陽病脉證并治中第6-37条

原文

太陽病 
十日以去 脉浮細而嗜臥者 外已解也 
設胸滿脇痛者 與小柴胡湯 
脉但浮者 與麻黄湯 七 用前第五方

太陽病、
十日以て去り、脉浮細にして臥を嗜む者は、外已に解する也。
設し、胸滿ち、脇痛む者は小柴胡湯を與う。
脉但だ浮なる者は麻黄湯を與う。(七 前の第五の方を用う)

小柴胡湯方

エキス剤有

小柴胡湯

  • 小柴胡湯掲載条文傷寒論37条96条97条98条99条100条101条103条104条144条(金匱要略22-1条条と同文)・148条149条229条230条231条266条379条394条、金匱要略15-21条17-15条(傷寒論379条と同文)・21-2条21-12条22-1条(傷寒論144条と同文)
  • 傷寒論96条・97条・99条・100条・229条・230条・231条・266条・379条:黄芩3両、人参3両、甘草3両(炙る)、生姜3両(切る)、大棗12枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 傷寒論144条・148条:黄芩3両、人参3両、甘草3両、生姜3両、大棗12枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 傷寒論394条:黄芩2両、人参2両、甘草2両(炙る)、生姜2両、大棗10枚(割く)、半夏半升(洗う)
  • 金匱要略:黄芩3両、人参3両、甘草3両、生姜3両、大棗12枚、半夏半升

麻黄湯方

エキス剤有

麻黄湯

条文解説条文を細かく解釈してみよう

太陽病細菌感染による中枢神経異常か。

十日以去 脉浮細而嗜臥者 外已解也発症から10日が経過し、解熱した(外已解)。横になっていたい(嗜臥)というのは、凄まじい疲労感を指すのだろう。チフスと考えられる。交感神経は興奮している(浮)が、血流は低下している(細)。

設胸滿脇痛者 與小柴胡湯チフスに見られる脾腫からの吐き気(胸満)があり、腋窩リンパ節の腫れによる痛みがあれば、チフスによる副腎機能障害を疑う。小柴胡湯を与えて様子を見る(與)。

脉但浮者 與麻黄湯副腎に問題がなく、波状的に発熱して交感神経は興奮している(浮)だけの場合は、麻黄湯を与えて様子を見る。

考察この条文はどのような症状を指しているのだろうか?

チフスだろう

腸チフスの熱状臨床経過

腸チフスの熱状臨床経過

  • 長期間(10日)の発熱、その後の解熱から、チフスを疑う。
  • チフスの波状熱による交感神経の興奮に麻黄湯、チフスによる副腎機能障害に小柴胡湯を処方している。

中国伝統医学ではこう考えた
日本漢方ではこう考えた