青龍湯を下し已って、
唾多く口燥く。
寸脉沈にして尺脉微。
手足厥逆し、
氣、小腹從り上って胸咽を衝く。
手足痺れ、
其の面は翕然として熱し、醉状の如し。
因って復た下って陰股に流れ、小便難し。
時に復た冒する者は茯苓桂枝五味甘草湯を與えて其の氣衝を治す。
小青竜湯方
桂苓五味甘草湯方
茯苓四兩 桂枝四兩 去皮 甘草炙 三兩 五味子半升
右四味 以水八升 煮取三升 去滓 分三温服
- 桂苓五味甘草湯掲載条文金匱要略12-37条
条文解説条文を細かく解釈してみよう
青龍湯下已 多唾口燥傷寒論41条では小青竜湯服用後、口渇があれば癒えるとしているが、本条では治癒に至っていない。アスペルギルスにより甲状腺機能障害が起こったものと考えられる。
甲状腺機能障害からの低リン血症、あるいは小青竜湯服用によるカテコラミン過剰→低リン血症のための神経異常により多唾・口渇があるのか、アスペルギルスによる咳で咽喉が渇くのか。「燥」なので炎症があるのだろう。 →低リン血症
寸脉沈 尺脉微尺脈微=心機能低下。低血圧。不整脈。甲状腺機能障害からの低Naによるものと考えらえる。
手足厥逆低血圧による冷えか。 →手足厥逆
氣從小腹上衝胸咽低リン血症あるいは低Naからのイレウスだろうか。
手足痺低リン血症による神経障害か。
其面翕然熱如醉状脳浮腫による症状。
因復下流陰股 小便難低リン血症による神経障害か。
時復冒者 與茯苓桂枝五味甘草湯 治其氣衝低Naからの脳浮腫と考えられる。
考察この条文はどのような症状を指しているのだろうか?
アスペルギルス症、及び低リン血症・低ナトリウム血症
- 低リン血症対策として茯苓が配合されている。茯苓に含まれるプロビタミンDは低リン血症の原因となり得ると共に、副甲状腺ホルモンを抑制し、低リン血症改善に働く。
- 低ナトリウム血症対策として甘草が配合されている。
- アスペルギルスに対して五味子、桂枝が配合されている。
構成生薬の類方構成生薬が類似した方剤と比較すると…
金匱要略12-36条(小青竜湯)はアスペルギルス症に対応している。
12-37条~12-41条は全てアスペルギルス症の多彩な症状に合わせた処方である(加減でもよかったように思う)。
- 12-37条~38条はアスペルギルス症から甲状腺機能障害(→低リン血症)になった。
- 12-39条はアスペルギルス症から脳浮腫になった。
- 12-40条はアスペルギルス症から肝機能障害になった。