小青竜湯

エキス剤有

小青竜湯

生薬解説各生薬は何をしているのか

麻黄【中品】エフェドリン作用、カテキン →麻黄

細辛【上品】β2刺激作用(血管平滑筋弛緩、気管支平滑筋弛緩=気管支拡張) →細辛

乾姜【中品】TRPV1刺激によるβ2受容体刺激。 →乾姜

五味子【上品】 →五味子

桂枝【上品(箘桂/牡桂)】シンナムアルデヒド、シンナムタンニン(単純縮合型タンニン) →桂枝

甘草【上品】グリチルリチン酸、多くのフラボノイド ※腎機能に問題がない場合に限る →甘草

芍薬【中品】タンニン酸(加水分解型タンニン/ガロタンニン)、ペオニフロリン、ペオノール →芍薬

半夏【下品】消化管蠕動亢進。抗菌作用。 →半夏

掲載条文

宋版傷寒論40条

傷寒表不解 心下有水氣 乾嘔發熱而欬 或渇 或利 或噎 或小便不利 少腹滿 或喘者 小青龍湯主之 方十

傷寒。表解せず、心下に水氣有り。乾嘔、發熱して欬す。或は渇し、或は利し、或は噎し、或は小便利せず、少腹滿ち、或は喘する者は小青龍湯これを主る。(方十)

小青龍湯方
麻黄去節 芍藥 細辛 乾薑 甘草炙 桂枝各三兩 去皮 五味子半升 半夏半升 洗
右八味 以水一斗 先煮麻黄 減二升 去上沫 内諸藥 煮取三升 去滓 温服一升 
若渇 去半夏 加栝樓根三兩 
若微利 去麻黄 加蕘花 如一雞子 熬令赤色 
若噎者 去麻黄 加附子一枚 炮 
若小便不利 少腹滿者 去麻黄 加茯苓四兩 
若喘 去麻黄 加杏仁半升 去皮尖 且蕘花不治利 麻黄主喘 今此語反之 疑非仲景意

宋版傷寒論41条

傷寒心下有水氣 欬而微喘 發熱不渇 服湯已 渇者 此寒去欲解也 小青龍湯主之 十一 用前第十方

傷寒。心下に水氣有り。欬して微喘す。發熱して渇せず。湯を服し已って渇する者は此れ寒去り、解せんと欲する也。小青龍湯之これ主る。(十一)

金匱要略7-21条

肺癰胸滿脹 一身面目浮腫 鼻塞 清涕出 不聞香臭酸辛 欬逆上氣 喘鳴迫塞 葶藶大棗瀉肺湯主之(方見上 三日一劑 可至三四劑 此先服小青龍湯一劑乃進 小青龍湯方見咳嗽門中)

肺癰、胸滿ちて脹る。一身面目浮腫む。鼻塞がり、清涕出づ。香臭酸辛を聞かず。欬逆し上氣す。喘鳴迫塞。葶藶大棗瀉肺湯これを主る。(方は上を見よ、三日に一剤、三四剤に至る可し、此れは小青龍湯一剤を服して乃ち進む、小青龍湯方は咳嗽門中に見ゆ)

金匱要略12-23条

病溢飮者 當發其汗 大青龍湯主之 小青龍湯亦主之

溢飮を病む者は當に其の汗を發すべし。大青龍湯これを主る。小青龍湯亦これを主る。

大青龍湯方
麻黄六兩 去節 桂枝二兩 去皮 甘草二兩 炙 杏仁四十箇 去皮尖 生薑三兩 切 大棗十二枚 石膏如雞子大 碎
右七味 以水九升 先煮麻黄 減二升 去上沫 内諸藥 煮取三升 去滓 温服一升 取微似汗 汗多者 温粉粉之

小青龍湯方
麻黄去節 三兩 芍藥三兩 五味子半升 乾薑三兩 甘草三兩 炙 細辛三兩 桂枝三兩 去皮 半夏半升 湯洗
右八味 以水一斗 先煮麻黄 減二升 去上沫 内諸藥 煮取三升 去滓 温服一升

金匱要略12-36条

欬逆倚息不得臥 小青龍湯主之(方見上及肺癰中)

欬逆倚息して臥するを得ざる者は小青龍湯これを主る。(方は上及び肺癰中に見ゆ)

金匱要略12-37条

青龍湯下已 多唾口燥 寸脉沈 尺脉微 手足厥逆 氣從小腹上衝胸咽 手足痺 其面翕然熱如醉状 因復下流陰股 小便難 時復冒者 與茯苓桂枝五味甘草湯 治其氣衝

青龍湯を下し已って、唾多く口燥く。寸脉沈にして尺脉微。手足厥逆し、氣、小腹從り上って胸咽を衝く。手足痺れ、其の面は翕然として熱し、醉状の如し。因って復た下って陰股に流れ、小便難し。時に復た冒する者は茯苓桂枝五味甘草湯を與えて其の氣衝を治す。

桂苓五味甘草湯方
茯苓四兩 桂枝四兩 去皮 甘草炙 三兩 五味子半升
右四味 以水八升 煮取三升 去滓 分三温服

金匱要略22-7条

婦人吐涎沫 醫反下之 心下即痞 當先治其吐涎沫 小青龍湯主之 涎沫止 乃治痞 瀉心湯主之

婦人、涎沫を吐く。醫、反ってこれを下し、心下即ち痞す。當に先ず其の涎沫を吐くを治すべし。小青龍湯これを主る。涎沫止めば乃ち痞を治す。瀉心湯これを主る。

小青龍湯方見肺癰中
瀉心湯方見驚悸中

  • 五行配当では、青竜は肝と同じグループに属する。条文では核心を得られないが、古人は肝機能障害を考えていた可能性がある(大青竜湯も同様)。 →五行
  • 名前は似ているが、大青竜湯、小青竜湯に関連や類似はないものと思われる。
  • 小青竜湯の適応症状に脈の記述はない。どんな脈にでも使用するのだろう。

用途小青竜湯はどのような時に使用されるのか?

全条文を見るに、アスペルギルス症に処方されている。

中医学では
日本漢方では

漢方エキス剤複数社から販売されている場合は、使い分けることが可能です

具体的な使い分け方については別頁で解説します。