心下悸とは現代的に考えると、心下悸とは何なのか?
大動脈の圧迫で起こる動悸
原因は胃、脾腫、胆嚢、膵臓、横行結腸のいずれか(または複数)にある。
より重症のものは臍下悸と表現される場合がある。
心窩部裏の大動脈瘤も心下悸を起こすと考えられるが、その場合は別の表現が用いられている。
- 胃の膨張。胃内容物の停滞は心下満と表現される。大動脈圧迫→動悸に至って心下悸と表現される。
- 肝脾腫。
- 横行結腸の膨張。
心下悸を含む条文古典に散見する心下悸
- 宋版傷寒論64条
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發汗過多 其人叉手自冒心 心下悸欲得按者 桂枝甘草湯主之 方二十七
発汗過多にして其の人叉手して心を冒い、心下悸して按ずることを得んとする者は桂枝甘草湯がこれを主る。(方二十七)
桂枝甘草湯方
桂枝四兩 去皮 甘草二兩 炙
右二味 以水三升 煮取一升 去滓 頓服体液量減少による動悸
- 宋版傷寒論82条
康治版傷寒論25条 -
太陽病發汗 汗出不解 其人仍發熱 心下悸 頭眩身瞤動 振振欲擗地者 眞武湯主之 方四十三
太陽病。汗を発す。汗出て解せず、其の人仍発熱す。心下悸し、頭眩し、身瞤動し、振振として地を擗たんと欲する者は真武湯がこれを主る。(方四十三)
眞武湯方
茯苓 芍藥 生薑各三兩 切 白朮二兩 附子一枚 炮 去皮 破八片
右五味 以水八升 煮取三升 去滓 温服七合 日三服 - 宋版傷寒論96条
康治版傷寒論26条 -
傷寒五六日中風 往來寒熱 胸脇苦滿 嘿嘿不欲飮食 心煩喜嘔 或胸中煩而不嘔 或渇 或腹中痛 或脇下痞鞕 或心下悸 小便不利 或不渇 身有微熱 或欬者 小柴胡湯主之 方四十八
傷寒五六日、中風。往來寒熱し、胸脇苦滿す。嘿嘿として飮食を欲せず、心煩し喜ば嘔く。或は胸中煩するも嘔かず、或は渇き、或は腹中痛み、或は脇下痞鞕し、或は心下悸して小便利せず、或は渇かず身に微熱有り、或は欬する者は小柴胡湯これを主る。(方四十八)
小柴胡湯方
柴胡半斤 黄芩三兩 人參三兩 半夏半升 洗 甘草炙 生薑各三兩 切 大棗十二枚 擘
右七味 以水一斗二升 煮取六升 去滓 再煎取三升 温服一升 日三服 若胸中煩而不嘔者 去半夏人參 加栝樓實一枚 若渇 去半夏 加人參 合前成四兩半 栝樓根四兩 若腹中痛者 去黄芩 加芍藥三兩 若脇下痞鞕 去大棗 加牡蠣四兩 若心下悸 小便不利者 去黄芩 加茯苓四兩 若不渇 外有微熱者 去人參 加桂枝三兩 温覆微汗愈 若欬者 去人參大棗生薑 加五味子半升 乾薑二兩 - 宋版傷寒論127条
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太陽病 小便利者 以飮水多 必心下悸 小便少者 必苦裏急也
太陽病。小便利する者、飮水多きを以ってなり。必ず心下悸す。小便少なき者、必ず裏急に苦しむ也。
- 宋版傷寒論356条
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傷寒厥而心下悸 宜先治水 當服茯苓甘草湯 却治其厥 不爾水漬入胃 必作利也 茯苓甘草湯方 方八
傷寒。厥して心下悸するときは、宜しく先ず水を治すべし。當に茯苓甘草湯を服すべし。却って其の厥を治す。爾らざれば、水漬かって胃に入り、必ず利を作すなり。茯苓甘草湯。(方八)
茯苓甘草湯方
茯苓二兩 甘草一兩 炙 生薑三兩 切 桂枝二兩 去皮
右四味 以水四升 煮取二升 去滓 分温三服 - 金匱要略12-7条
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水在腎 心下悸
水、腎に在るときは心下悸す。
- 金匱要略16-13条
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心下悸者 半夏麻黄丸主之
心下悸する者は半夏麻黄丸これを主る。
半夏麻黄丸方
半夏 麻黄等分
右二味 末之 煉蜜和丸小豆大 飮服三丸 日三服