原文
心下有痰飮 胸脇支滿 目眩 苓桂朮甘湯主之
心下に痰飮有り。胸脇支え滿ち、目眩むものは苓桂朮甘湯これを主る。
苓桂朮甘湯方
茯苓四兩 桂枝 白朮各三兩 甘草二兩
右四味 以水六升 煮取三升 分温三服 小便則利
- 茯苓桂枝白朮甘草湯(苓桂朮甘湯)掲載条文傷寒論67条、金匱要略12-16条・12-17条
- 傷寒論:桂枝(皮を除く)、朮2両、甘草(炙る)、服用前に滓を除く
- 金匱要略:桂枝、朮3両、甘草、服用前に滓を除かない
条文解説条文を細かく解釈してみよう
心下有痰飮心下と言えば胃、肝臓、脾臓、膵臓の問題である。痰飲と言えば通常腹水だが…。「心下に痰飲あり」という表現は本条のみ。「心下に支飲あり」は12-25条(沢瀉湯)、12-28条(小半夏湯)、17-2条に見られる。
胸脇支滿肝臓か脾臓が腫大。なお、「胸脇支滿」という記載は本条のみである。
目眩溶血性貧血か。
小便則利循環血液量回復すれば小便が出る。
考察この条文はどのような症状を指しているのだろうか?
???
- 甘草炙らない→ビタミンDが欲しいのか。
- 鉄を強力に排除 門脈圧亢進性胃症?
1 炙らない甘草には配糖体が含まれる。そのため脂溶成分(茯苓のプロビタミンDや朮のβオイデスモール)が抽出される。
2 甘草の配糖体を考慮した上で、各生薬の働きは以下である。
3 「胸脇支満」の表記から肝障害が疑われる。肝障害により起こる症状は以下である。
・鉄過剰症 ・貧血 ・
4 茯苓は肝障害によるビタミンD合成低下、貧血に対応
朮は胃酸分泌を抑制し、鉄の吸収を阻害する
桂枝のタンニンが鉄と結合し、鉄の吸収を阻害する
甘草