漢方エキス剤と煎じ薬との違いと使い分け

漢方エキス剤と煎じ薬では、処方の仕方・考え方に違いはあるのか?

煎じ薬と漢方エキス剤ではどちらが効くのか

煎じ薬と漢方エキス剤ではどちらが効くのかという質問をよくいただきます。
個人個人にオーダーメイドで処方を組むことができるという点では煎じ薬の方が効き目があるといえます(参考「漢方エキス剤の長所と短所」)。漢方エキス剤が販売されたばかりの頃、漢方医や薬剤師が批判的であった理由は、漢方エキス剤では患者に合わせた加減ができないという点にありました(→「漢方エキス剤とは何か」)。

漢方エキス剤と煎じ薬は別物なのか?という質問をいただくことがあります。漢方エキス剤は煎じ薬の成分を抽出したものであり、煎じ薬と同じものと考えて差し支えないでしょう。煎じ薬はその生薬の種類と量を加減でき、漢方エキス剤ではそれができないという点が重要なのです。

煎じ薬と漢方エキス剤では、処方の仕方・考え方を変える必要があるのか?

専門家に言わせると、薬効も方意もわかっていないのなら、漢方エキスだ煎じだと騒いでいる場合ではないそうです。逆に言えば、薬効や方意をちゃんとわかって処方しているのであれば、漢方エキス剤は漢方エキス剤のやり方、煎じ薬は煎じ薬のやり方という区別は必要ありません。漢方薬という括りで理解する方が、有効性も高められ、学習の時間も節約できるでしょう。

なお、現代中医学や日本漢方を学習し、薬効や方意を学んだからといって、的中率が上がることはあっても「確実」になるわけではありません。

もっと効果をあげたい、煎じ薬を処方しようと考えた時、まず必要なのは「調剤してくれる薬局を探す」こと、または「院内調剤として処方するを決意する」ことです。その上で煎じ薬を処方する方法は以下の2パターンになります。

  • 漢方エキス剤になっている方剤の中の生薬の量を加減する
  • 生薬知識(効能)と方剤の組み合わせを学習し、古典を参考にしながら自在に方剤を組んでいく