中国の漢方エキス剤事情

加減ができない漢方エキス剤は、現代中国医学にはそぐわない

中国では漢方エキス剤は普及していない

中国では漢方エキス剤は普及していません。

漢方エキス剤

漢方エキス剤

中医学と呼ばれる現代中国医学には「弁証論治べんしょうろんち」という理論があり、個人の病態に合わせて方剤を加減します。また後代、生薬の薬効によって1から方剤を組み立てるというやり方が主流になったこともあり、加減ができない漢方エキス剤はそぐわないのです(→「エキス剤の長所と短所」)。

中国の「弁証論治」とは対照的に、日本漢方の「方証相対ほうしょうそうたい」は、「葛根湯の証」、「小柴胡湯の証」というように、はじめに方剤ありきという感じで病態が固定されていて、患者さんの今の症状はどの方剤の証に近いか…といった具合に考えます。個人の病態に合わせて薬をオーダーメイドするという感覚が希薄なのです。だからこそ、方剤を固定した漢方エキス剤を開発できたと考えることもできます。

ただ、単一の生薬の漢方エキス剤はあります。また、各流派、病院ごとによく使う方剤があれば、それを漢方エキス剤にしているところもあるようです。