生薬のタイムカプセル!
奈良・平安時代の中央・地方の官庁や大寺には、重要物品を納める正倉が設けられていました。そしてこの正倉が幾棟も集まっている一廓が正倉院と呼ばれたのです。しかし、あちこちに置かれた正倉は、歳月の経過とともにいつしか亡んでしまい、わずかに東大寺正倉院内の正倉一棟だけが往時のまま今日まで残ったのです。これがすなわち、正倉院宝庫です。[宮内庁ホームページ(https://shosoin.kunaicho.go.jp/)より]
正倉院正倉[宮内庁ホームページ(https://shosoin.kunaicho.go.jp/)より]
光明皇太后が聖武天皇の七十七日忌に聖武天皇遺愛の品、約六百数十点、および六十種の薬物を東大寺の大仏に奉献したのが始まりで、この品々は正倉院宝庫に献納されました。現在も残る正倉院宝庫は校倉造の高床式倉庫です。
この時奉納された六十種の薬は正倉院薬物と呼ばれ、後に必要に応じて出庫されました。有名な蘭奢待も正倉院の中倉にあり、特に量が多いのは人参、大黄で今でも使えます。桂皮(「桂心」の名前で収蔵)もあります。そのリストが「種々薬帳」と呼ばれています。
「正倉」とは、元来「税を納める倉」を意味していました。